2015年8月、東京事務所に続いて、シンガポールにHULS Asia Pacific Pte. Ltd.を設立した。当時は、まだデザイン制作を中心に行っており、シンガポールでもそうしたニーズがあったというのが実際のところだが、同時に小倉織の「小倉 縞縞」を始めとしたいくつかの日本工芸品の市場リサーチも開始しており、シンガポールでの会社の設立により、工芸品の海外展開を本格化させることも大きな狙いだった。
よく聞かれるのが、どうしてシンガポールを選んだのかということ。それは、シンガポールは、英語を公用語とし、経済成長するアジア圏の中でも最も国際的な都市であるからというのが一つの理由。アジアの中でも、ビジネス面でのインフラが整い、文化面でも、建国わずか50年のこの国は、自国の文化は成熟しておらず、様々な他国のアートやデザインを取り入れながら、新たな都市スタイルを見出そうとしている。
また、シンガポールは、中国や香港、タイなどの他のアジアの国と比べ、距離的にも日本からは離れている。言語面でも英語と中国語が話せるという点で、シンガポールの国民にとっては、中国やインド、欧米諸国との対話のほうが行いやすく、逆に言えば、日本は遠い存在であり、そのぶん見知らぬ魅力を感じてくれているように思っていた。
様々な人種が交錯するシンガポール。
そんな国で、日本工芸の魅力を伝えていく。
それが、HULSの最初のMissionとなった。